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「よいお年を」の正しい続きとは

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年末になると交わされる「よいお年を」という日本語の挨拶。この言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか?

先日、出かけた先で「良いお年を “お過ごしください”」という挨拶を聞き、思わず「えっ!」と驚いてしまう出来事がありました。
といいますのは、私はいつのまにか別の形で挨拶しておりまして、「お過ごしください」という挨拶を初めて耳にしたからです。

そこで、日本語としてどのような続きが一番正しい…というよりも美しいのか?日本の伝統を考えながら考察してみました。

良い年を「過ごす」?

おそらくこの方は、良い“休暇”をお過ごしくださいという意味で挨拶されたのだと思いますが、ちょっと考えるとおかしいな?ということに気が付くはずです。

年末、今年もあとわずかという時に、「過ごせる」年はもうかなり僅かとなります。ということは、残り僅かの日数を良い年として過ごすのでしょうか、それとも来年一年すべてを過ごすのでしょうか…

前者の場合ですと、どうしても今年一年のことに頭が行ってしまいますので、あまり良い年で無かった方には残念な響きができてしまうように思われます。

後者の場合は、「過ごす」というニュアンス自体に違和感が生まれます。一年ともなると様々な出来事がありますので、やり過ごすというわけにはいかないでしょう。

では、どのようにすると美しくなるでしょうか?


お年取り、忘年会

かつての日本では1月1日になりますと皆がひとつ年を取ったものでした。数え年の習慣です。また大晦日の晩はお年取りと言って、お祝いのお酒を交わします。

いっぽう、今でも忘年会というものが行われています。一年の失敗や恨み言などは一切忘れて楽しみましょう、心に曇りを残さずに新しい年に向かいましょうという心意気の宴会です。そう、先日お話した大祓の心にも通じますね。

すなわち、今年一年の事は「洗い流して」、新しい年を良いものにしよう、というのが日本の心ということになります。


よいお年を「お迎えください」

私は神社でもこのような挨拶を聞いてきたのでしょうか、これまで意識したことがありませんでしたので覚えていないのですが、いつも年末の挨拶はこのように重ねてきました。

みな年末にはよい新年を迎えようと家を整え、新年のお祝いの準備しています。
この挨拶は、その年末への励ましと、来年一年が宝船に乗ってやってくるような、希望を湛えた明るいイメージを添えて贈られているのです。

そして、おそらくもっと正しくは「良い年をお迎えいたしましょう」(ともに頑張って子孫に国に、良い一年を積み上げていきましょう)というのがもっと尊い挨拶であったに違いありません。


省略された理由

では、なぜ「お迎えください」まで言わず「お年を」で切れてしまうようになったのでしょうか。

これには、長寿へのイメージの変化があるように思われます。かつて長寿はお祝い事で、年を取ることができることはありがたいことでした。
ところが戦後あたりから、年を取ることにあまり明るいイメージがなく、老けや老化として考えられ、年を迎える=年を取る と考えられることから、濁されるようになったものと思われます。

とはいえ、現代は元気で長寿なお年寄りも増えてきましたから、ぜひ良い年を迎え、ひとつより素晴らしい年を重ねて参りましょう。


関連リンク:

年越の大祓とその参列方法

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