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天を恨み人をとがむることもあらじわがあやまちを思ひかへさば

うまく行かないからと天(あめ)=神々や生まれを恨んだり、人の所為だと咎めてはならない。

たいてい、その原因はわが身のあやまちから起こるものだからである。

そのように思い返すことが出来れば、失敗は減り、物事はうまく運ぶようになるものだ。


あやまたむこともこそあれ世の中はあまりに物を思ひすぐさば

人の思いは複雑で、誤解も多いものである。

誤解が元で生まれるあやまちもまた、多いものである。

これを許さずにおくならば、罪はどこを基とすべきだろうか。

否、思い過ごしを知ることこそ真実に歩み寄る道となるものである。


あやまちを諌めかはして親しむがまことの友のこゝろなるらむ

人があやまちを犯した時、これを諫めるのには勇気が要るものである。

誰でもあやまちを諫められるのは気分の良いものではない。

ともすれば怒りに触れて、取り返しのつかない事態になることもある。

しかしこれを敢えて諫めあい、しかも親交を失わないことは、これこそ真に磨き合う友というものである。


あらし吹く世にも動くな人ごころいはほに根ざす松のごとくに

今の世はさまざまなものが入り乱れて混乱する時代である。

たとえば海外の珍品、学問、情報、そうしたものに踊らされて日本人の魂を失ってはならない。

すなわち、先祖が積み上げてきた美徳をおろそかにしてはならない。

固い岩の中に根ざした松の木のように、その心は不動のものであれ。


荒るゝかと見ればなぎゆく海原の波こそ人の世に似たりけれ

これから荒れていくのだろうかと思っていたら、にわかに波が静まっていく。

海原が全く予想のつかないものであるのと同様に、人の世も予想のつかないものだ。

これが今起きていることではあるが、すなわち逆も然り。

何が起きても良いように、万全の対策を用意しなさい。


意訳:Caloa Takao

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