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私が日本で最初に発信したSDGsをよく理解しないまま商売道具や権力材料に利用されたことに、ちょっと頭に来ています。これによって気候変動という現実が現実と認識されない現象すら引き起こされているからです。生き残るために、もう少しリアルに考えましょう。

現在の地球には2種類のエネルギーが存在します。このうち能動的に生産・消費されるエネルギーが増えることで総熱量が増えることにまず気づいてください。CO2など大気の状態は結果物でしかないのです。

能動エネルギーとは

能動エネルギーとは、火力や原子力など燃料を燃焼させて生み出す、地球本来の活動では起こりえない人工エネルギーを指します。人間が能動的な選択を行うと多く生産・消費されることから能動エネルギーと呼ぶことができます。

受動エネルギーとは

受動エネルギーとは、風力、水力、太陽光、地熱など、地球活動によって自然的にすでに生成されているエネルギーを指します。人間が受動的な選択を行うと多く生産・消費されることから受動エネルギーと呼ぶことができます。

それぞれの未来

気候変動は生命の個体数を減少させ、同時に有機的生産力を低下させます。やがて適応した種が生き残ったのち、再び回復傾向となるのが数十億年繰り返される自然の摂理です。温暖化であろうと何だろうとこれに適応できるかどうかが問われるに過ぎません。
しかし、気候変動によるこの縮小期に人間社会を維持するには、個体数の減少に適応できる能力が求められます。

① 能動的選択から、失敗した場合

能動的選択によって維持が不可能となった場合は、不可抗力的に受動的選択をすることになります。この未来は、初めから受動的選択をしていた場合よりも過酷な未来となるでしょう。なぜなら、より気候変動のサイズが拡大し、縮小のレベルが大きくなり、種の保存そのものに困難を伴うほどになるためです。

② 能動的選択から、成功した場合

能動的選択とはごく簡単に言うと、人間を含めた地球に「無理をさせる」選択です。例えば仮に太陽エネルギーと能動エネルギーのバランスを取るために、赤道付近にスペースデブリで地球環を形成していくという、途方もない企画を実現したいとします。理論上は可能ですが、現状ではエネルギーコストや技術力の関係で実現不可となっています。この問題をAIがクリアした場合、赤道付近の気温を能動エネルギーの総量に対して調節するという選択肢も一応生まれてくることになります。
しかし「成功」の定義は人類が保存される未来を条件に含んでいます。原子力のように危険な廃棄物が出るようなエネルギーでは成功とはならないでしょう。地殻に埋めたとしても、その地殻が崩壊したときに生命が死滅するためです。いずれにしてもAIに助けられる部分がうまく機能するかどうかが分かれ目になります。

③ 受動的選択を行った場合

受動的エネルギーを選択し、人間の活動を抑える選択です。生命縮小期にとって合理的で有機的な選択であり、同時にこれまで培ってきた能力を活用することもできる選択であると言えます。ある程度の技術で不足を解消しつつ、行き過ぎない消費によって受動エネルギーの範囲に収めて行きます。最も成功しやすい選択です。
自然的にこちらに人類全体の選択は動いていますが、政府だけが若干流れを読み切れていない気配があります。大きな力(金額)を前にすると、天井がどこまでも高いような錯覚に陥るためでしょう。
縮小期の人類はそれらをまとめて一つの個体として解釈すると、不摂生で病気になっているような個体に喩えることができます。無理はできず、以前のように働くことは叶いません。

さらに残念ながら、人類は能動的選択が行えるほどの十分な能力を獲得していないまま縮小期に突入してしまいました。よって、③を経て回復を待ちつつ技術を育成して、②を目指すのが現時点でのベストチョイスであると私は考えています。時間単位は個人の一生をゆうに超えるものと考えてください。

受動エネルギーだけでは「足りない」のは当たり前

冒頭で総エネルギー量が熱に関係すると言いました。現時点で温暖化になっているということは、総生産・消費エネルギーの量が「明らかに多い」からです。石油や原子力の人工利用は地球にとって異常な熱量を生み出しています。こうしたエネルギーは生み出される時も、使う時も熱を生じます。我々はこうして地球をせっせと暖めておいて、暖かくなりすぎたと騒いでいるのです。

各地で倒産や工場の閉鎖が相次いでいます。縮小期の自然な傾向です。そして「最後の抵抗」のようにAIを活性化させています。これも自然なことでしょう。 さてまだ、暖めますか?