古事記にも和歌が登場します。あるときの古事記講和で「ぬばたまとは何ですか?」と質問したとき、「枕詞なので意味はない」という答えを頂いたことがありました。私は『そんなはずはない…』と思い、ついに古文書を深く調べることになったのです。すると、いくつかその起源を見つけるに至りました。
枕詞の意味一覧
*ほのぼの → あけ
ほのぼの=優しい光・段々と明るくなっていく様子、あけ=明け。
大御神ご誕生の時刻は明け方でした。お日さまとともにお生まれあそばした様子が喜びをもって歌い継がれ、やがて繁栄の祈りをこめて夜の明ける様を表現する枕詞に進化していきます。
*ぬばたま → よ・よる
ぬは=青・暗 たま=霊、よ・よる=夜。
大御神のお生まれあそばしたばかりのみたま(魂)のこと。
(生まれ落ちたばかりの赤ちゃんは青く、酸素に触れて赤くなります。 火も酸素と合って明るくなります。)
*いそのかみ → ふる
いそ=争 かみ=守・神、ふる=奮・震
大御神より国難を助けることをフツヌシ神は託されました。 神上がってより後にも、御皇孫をその不思議な力で助けられました。大御神は武器によって人を容易に傷つけることをよしとなさらず、 抗う者であっても、清い心がその胸のうちに咲くことをお望みでした。石上の剣の力とはこのことであり、それがふる(働く)ことを祈る枕詞です。
*しまつとり → う
しま=島 とり=鳥、う=鵜。
昔シマツヒコ神が鵜の朽ちた木に乗って川を行く姿を見て、 竿をさして筏に乗る方法を覚え、これがやがて舟となったというお話が起源です。
*おきつとり → かも・ふね
おき=沖 とり=鳥、かも=鴨 ふね=舟
昔オキツヒコ神が鴨が足ひれで力強く水をかくのを見て櫂を考案しました。 舟の名前として「鴨舟」と呼んだり「かも」だけで舟を表す表現が残っています。
*たらちね → おや・はは・ちち
昔、両親のことをたらちね、父をたらちを、母をたらちめと呼んでいました。 「た」が陽、「ら」が陰を表し、親は陰陽(夫婦)そろって親であることを表現しています。 ちは「乳」、養うこと。ねは「根」ルーツや親のこと、をは「男」、めは「女」です。
*あしひき → やま
あしひき=足退き・死の世界から退ったこと、やま=大和(日本の古称)。
昔、イサナミ神が熊野を守るための火災でお亡くなりになってしまいました。最愛の妻を失ったイサナキ神は悲しみのあまり妻を求めて追って行き、 そしてその変わり果てた姿を見てしまい、夜、悪夢にうなされます。苦しんだ末に妻を追って死にたい気持ちを断ち、夫婦という私心(慕情)の世界と決別し =ヨモツサカで妻(への気持ち)と別れ、国のために生きて行くことを決意します。
夢の中のイサナミ神は、イサナキ神が持っていた慕情の念の象徴です。実物ではありません。古事記のこの段は、人が死を乗り越えて公人になっていくというとても深い一節なのです。
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